診る、見る、観る。みえないものを感じ取るとは

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いつの頃からでしょうか?
施術時に、直観とも言えるようなクライアントの方の深いポイントを徐々に感じられるようになったのは。
 

2つのターニングポイント

思い返してみると、きっかけは、鍼灸学生時代に視覚障害の方々の鍼灸団体にて学ばせていただいた事に遡ります。
8割以上とも言われる視覚からの情報入力に頼らずに、臨床を行うことの凄さを体感しました。
聴覚と触覚と嗅覚をフル活用して行う臨床は正に圧巻でした。
 
次のターニングポイントは、ロンドンに滞在し施術を行った事でした。
当時、まだまだ英語においてのコミュニケーションが不十分であり、言語による会話にどうしても自信が持てずにいました。
追い込まれた末に、相手の体の声を聞くことのみに注力し、体の微細な変化を掴むことと結果を出す事のみに集中していました。
そして、視覚障害の方々の施術を思い出し、目を閉じてセッションを行うようになりました。
次第に新しい感覚をキャッチできるようになってきたのは、その時からです。
 

知っておいていただきたいこと

この新しい感覚をご紹介する前に、知っておいて頂きたい2つのことがあります。
それは、可視外領域と可聴外領域に関してです。

可視外領域のこと

私達が「見える」という表現を使う時、それは電磁波の下界おおよそ360-400 nmから、上界はおおよそ760-830 nmの領域のみのを認識しています。
電子レンジ、ラジオ、昨今では3G/4Gやwifiを想像していただくと、イメージが掴み易いかと思います。
 実際の生活において当たり前のように浸透しているこれら目には見えない波長。
私達は原理を深く理解する事なく日々有効活用しています。
このように科学の世界においても、この世の中には可視領域外の目には見えない現象が溢れています。

可聴外領域のこと

私たちの聴覚も、視覚と同様に聞き分けることができる帯域に制限があります。
それは、20~20万Hzの領域でしか音を捉えることができないということです。
可聴内で音楽を楽しむために、可聴外の音をカットしているCDなどはその代表例にあたります。
の他にも、犬やイルカなどは人間よりも確実に広い領域の音を捉えているのは皆様もご存知の通りです。
音とは、空気の揺らぎを聴覚器官が感じとったものに過ぎません。
可聴外領域の空気の振動は、全身の皮膚により無意識レベルにおいて作用しています。
 
 
この聞き取れない空気の振動を、波長の変化として少しずつ感じ取れるようになりました。
また、視覚障害の方々との学び、ロンドンでの修行を通して、視覚に頼らずとも微細な変化を触知できるようにもなりました。
この可視外領域と可聴外領域への感覚の集中により、「目には見えないけど、実在する世界の感覚」を徐々に認識できるようになり、直観と言われるものが働きやすくなってきたように感じています。
 

シックス・センス(第6感)の正体

このことを人の体に拡張していくと、どうなるのでしょうか?
8割の情報入力系である視覚を遮断することによって掴むことができた、「目には見えないけれど、実在する世界の感覚」。
毎日、真摯に施術に向き合っていると、薄紙を重ねるように少しづつ感覚が向上していきます。
 
現時点で掴んでいる感覚の一例を挙げると、
・筋肉や筋膜などのより深い部分での連鎖
・感情など自律神経系が反映しているであろう脳波の状態
・患者様と共有しているフィールドの波長
などです。
 
一つ動画をご紹介します。
(英語の字幕を選択できます)


このように、言語以外のコミュニケーションを、心臓を介して常時行っていることも既に明らかにされています。
心臓がコミュニケーションのシックスセンスとして働いていることを通して、クライアントの方と共有しているフィールドの波長や波の揺らぎといった観点も理解していただき易いのではないでしょうか。
 
次回part.2として、この「目には見えないけれど、実在する世界の感覚」を用いて、実際どのように臨床を行っているのかをご紹介します。