Wさんとのロルフィング10セッション
昨年11月からスタートしたWさんとの10セッション。
先日、全てのセッションを終了しましたので、経過をご報告させていただきます。
Wさんのロルフィングセッションにおける主な目的は、ご本人の言葉をそのままお借りすると以下の3つでした。
- 下腹部ポッコリ
- 出っ尻
- 腰痛、肩こり
また、より良い歩き方を学んでみたいとのニーズもあり、ロルフィングセッションを受けていただくこととなりました。
目次
「伸ばせる余地」はどこ?
ロルフィングでは、セッション1〜7の中で制限因子の改善のためのアプローチを中心に行います。
そして、セッション8〜10の中で身体の可能性や潜在力を引き出すためのアプローチを行います。
セッション1〜7で「静的ライン」を整え、セッション8〜10で「動的ライン」を見出すことにより、その方が持つ「伸びしろ」を最大限に伸ばせるのです。
制限因子と可能性は表裏一体です。
その方の「伸びしろ」を見つけ、改善し、伸ばすこと。
そのための体系だったアプローチがロルフィングセッションの特徴です。
Wさんの場合は、下肢から腹部にかけてこそが、まだまだ機能的に使うことができる大きな伸びしろがあるエリアでした。
ロルフィング10セッション:ダイジェスト
Wさんへのセッションでは以下の様なポイントに着目したセッションを行いました。
- 筋膜
・腹横筋と骨盤底、脚と腸腰筋 - 使い方
・呼吸、歩き方と立ち方 - 感覚
・お腹と骨盤部の感覚を細分化 - 鍼灸施術
・気の流れ、脳を鎮静化
Wさんは首肩のコリがひどく、鍼灸を織り交ぜたセッションを適宜行いました。
頑固な筋膜の癒着改善には、ロルフィングの手技と鍼灸の併用が特に効果を発揮します。
当院では、これまで鍼灸が苦手であった多くの方に、鍼灸の効果を知っていただける機会が増えています。
鍼灸施術にも様々な手法やツールがあり、それぞれの体質にあった最適なテクニックを用いているからだと考えています。
ロルフィングが目的で来られる方の中には、鍼灸を併用すればお悩みが早く改善する方が数多くいらっしゃいます。
症状から鍼灸が効果的であることをご説明すると、最初は恐る恐る受けられるのですが、施術後はその効果に驚かれ、それからは毎回鍼灸を併用することを希望されるようになるのです。
これまでも何度かお伝えしているように、鍼灸はマイナスからゼロへ戻す作用が大きく、ロルフィングはゼロからプラスへ、まさに伸びしろや可能性を探求していく作用があると言えます。
痛みや不具合がある方は、やはりロルフィングと鍼灸を織り交ぜることにより、最大限の効果を発揮することを実感しています。
リンク内記事で「当院における鍼灸とロルフィングの位置づけ」を解説しています。
重力に対して
静的ラインを整えるセッション1〜7までを終了した時点で、Wさんのお悩みはほとんど解決されていました。
ただ、症状は改善してはいるものの、客観的に見ると下腹部ポッコリと出っ尻はまだまだ改善の余地があります。
セッション8〜10の中で、この両者のバランスを整えることがWさんにとっての根本改善となるのです。
必要な箇所を活性化し、不必要な箇所の脱力を促す
人間が動く時には、必ず重力の影響を受けています。
動きとは幼少期からこれまでの筋活動のパターンです。
そのため長年の動きの癖は、重力下で身体をどう扱っているかを注意深くみていかなければなりません。
アイダ・ロルフ博士が初めて体系化した「重力と筋膜」の関係性。
日頃気づかず、空気の様な存在になっているものにこそ、最も本質的な影響があるのです。
そしてセッション8〜10における「動的ラインの見出し」が、この重力との関係性をアップデートすることにつながります。
動きの中での再学習「必要な箇所を活性化し、不必要な箇所の脱力を促す」ことにより重力との調和がもたらされるのです。
K.Aさんとのロルフィングセッション8〜10:重力との調和とは?
重力との関係性を改善するためのワーク
それでは、Wさんにも行った動的ラインを整えるためのワークを一つご紹介します。
特に下腹部ポッコリと出っ尻にお悩みの方にとっては効果的な動きとなります。
膝や骨盤の動きを組み合わせることで、重力下での身体の使い方を再学習します。
「軸足の中殿筋の収縮を感じられるか」がポイントであり、そのためには下記の筋肉群をユニットして活用する必要があります。
- 中殿筋
- 腹横筋
- 骨盤底筋群
- 足の各筋肉群
動きの負荷を掛けながら必要な箇所の活性化を促すことで、Wさんは下腹部の緩みを解消するコツを完全に掴んでくださいました。
まとめ
腰痛や肩こりの改善に加えて、姿勢のコツも見事に体得してくださったWさん。
お腹の活性のしかたを再学習いただけたことが、ターニングポイントとなりました。
- 電車で座っている時に、お腹の感覚を活性化するようになった。
- お皿を洗っている時に、腹筋の使い方を意識するようになった。
身体感覚の意識付けを習慣化してくださったと伺えたことは、ロルファー冥利に尽きるフィードバックでした。
重力との新たなバランスのとり方を学び直すことができる、ロルフィング10セッション。
この過程で掴む身体の使い方のコツを、日常生活において実践することで、腑に落ち心身に定着します。
体得した新しい感覚は「一生もの」。
この感覚にアクセスする度に、身体自身がロルフィングで整えられた軸感覚を呼び起こすのです。
身体の叡智を活性化させることが、さらなる健康につながっていくと言えるでしょう。
ロルフィング®Q&A:10セッションの効果はどれくらい継続するの?