【腰痛の鍼灸治療】:ストレスと疲労による腰痛
1ヵ月に1回、メンテナンスに来られているKさん。
いつもは首から肩にかけてのコリ感をメインに施術を行っているKさんですが、今回はひどく体調を崩されての来院となりました。
お話を伺うと、秋から職場が変わったこともあり、新しい環境に慣れるまでの気疲れによる睡眠の質の低下が強く関係しているようです。
あまり寝た気がせず、頭が常に忙しい感じがするとの訴えからも、1日の疲労を充分に回復することができていないのでしょう。
また、通勤時間が増えたことも、気疲れによる睡眠の質の低下疲労の蓄積の大きな要因になっているようです。
年末に掛けてますます仕事が忙しくなるため、その前に体調を整えたいとの切実なご要望でした。
東洋医学の観点から:目の疲れと睡眠の関わり
慣れない環境に適応するまでの気疲れ、新しい仕事を覚える過程におけるPCでの目の酷使、これらは全て肝(東洋医学における)のバランスを崩す大きな原因となります。
この肝のアンバランスにより、寝た気がしないという睡眠の質の低下が引き起こされるのです。
他にも肝は、特に目や筋肉を滋養しています。
そのため、疲れ目やドライアイ、筋肉の痙攣やコリ感を顕著に感じるようにもなるのです。
ストレスマネージメントの一例:「心身の不調や疲れの鍼灸治療:心身の再起動」
東洋医学の観点から:腰痛と睡眠と自律神経
一方、腎(東洋医学における)とは両親から受け継いだエネルギーであり、腰や脳を滋養しています。
腎がバランスを崩してしまうと、腰の鈍痛や思考力の低下などが生じます。
腎は特に活動の気力の元となり、自律神経とも深い関わりがあります。
そのため、睡眠の質が低下するなどの慢性疲労の蓄積により、最もダメージを受けやすい臓器であると考えられています。
「かんじんかなめ」の肝と腎
そして、肝と腎は共に、体を潤し滋養する陰の性質を持ちます。
虚(少ない)の状態になってしまうと、陽のエネルギーの暴走を抑えることができなくなります。
陽のエネルギーの暴走が起こっている部位には、炎症が発生しやすくなります。
つまり全ての機能が亢進(過剰な状態)してしまうため疲れていても夜眠れない、などの交感神経過多の状態が起こってしまいます。
これらの結果として、今回、首肩から背中にかけての強いコリ感や腰の鈍痛が更に悪化してしまうという訳です。
施術と感想
今回の施術は主に、
- 鍼灸治療による局所の筋緊張緩和
- 肝と腎のバランスを整えるための手足の穴を用いた全身治療
- クラニオセイクラルの観点より自律神経を整える手技
これらを総合して行いました。
そして、後日、丁寧なメールもいただきました。(ご本人了承済み)
今回伺う前を思い返してみると、かなり限界まで行っていたことに気づきました。体の疲労のピークがきて、気力もダウンしてしまっていました。
気疲れと疲労で腰痛がひどくなってしまうことも今回よく分かりました。確かに普通の時の腰痛と違って、疲れた時の腰痛は感じが違う気がします。
あれから調子が随分良くなり、もうひと踏ん張り頑張ってみようと思えるようになりました。ありがとうございます。
自分でも気をつけるに越したことはないですが、万が一の時は先生のところに行けば大丈夫だという安心感があるのは私にとってはとても大きなことです。
いつもありがとうございます。
まとめ
「これくらい大丈夫だから、気力で乗り切ろう」
慢性疲労や慢性腰痛になってしまうと、回復までどうしても時間が掛かってしまいます。
環境の変化は思いもよらない程、体に負担を掛けるもの。
見て見ぬ振りを続けるのではなく、気づいたその時がタイミングです。
慢性疲労や慢性腰痛として根付いてしまう前に、早目に対処しましょう!
「コリや痛みが改善しないのは「睡眠負債」が原因かもしれません。」