頚(首)の痛み、腕のしびれのお悩み

首周辺の骨と筋肉の解剖図
Photo by Qasim Zafar – Muscles of the neck, cervical vertebrae(2015) / Public Domain

首の痛みから腕がしびれるまでに至り、医者から手術を勧められた患者様の症状経過と治療ポイントをまとめました。
以下は初診時のご本人談の要約です。

38歳 男性 会社経営
3年前、首に痛みを感じ整形外科を受診したところ、首の骨の間が狭くなっていることが原因で筋肉や靭帯に負担が掛かっていることによる痛みだと言われました。痛み止めを飲みながらと整形外科のリハビリに通い、半年程でそれほど気にならなくなりました。
しかし半年前に首を寝違えてから首の痛みが再発し、徐々に右腕までしびれるようになってきました。今回は腕のしびれもあるのでMRIを受け、頚椎5・6番の頚椎神経根症であるという診断を受けました。痛み止めとリハビリをしっかり行うように言われ、痛みやしびれが変わらなかったりひどくなるようであればブロック注射を行いましょうとの治療計画となりました。
今回は薬とリハビリでは改善が見られず、徐々に症状がひどくなってきたのでブロック注射を一度受けましたが、症状に変化なく日に日に悪くなっていくようでした。後数回ブロック注射を行って変化がないようだったら将来的には手術も考えないといけませんと医師に言われ、どうしても手術は受けたくないので、鍼灸治療を試してみようと思い本日伺いました。

 

頚椎神経根症と中斜角筋のトリガーポイント関連痛

初診時に症状を確認すると、首の筋肉の緊張はとても強く、首から右の上腕部にかけてしびれを常に感じ、ひどい時には右手の親指にもしびれを感じることがあることが確認できました。
整形外科でのMRIの画像診断により、右の頚椎5・6番が狭くなっていることが確認されていたため、詳細に首の関節を触診していったところ、5・6番の首の関節周囲の強い緊張を確認しました。さらに首の2番〜6番の横突起と言われる関節部位にもとても強い緊張が確認できました。その部位を触りながら本人に確認していくと、3年前に首に痛みを感じ始めたまさにその場所だということでした。
その後必要な神経学的なテストを行い、総合的に「頚椎5・6番の頚椎神経根症と中斜角筋のトリガーポイントによる関連痛」の併存であると判断しました。

頚椎症治療のポイント

頚椎の関節部位と中斜角筋に対して、まずは鍼灸治療を行いました。頚椎所治療のポイントはどれだけ正確に部位を把握できるかで、治療効果に雲泥の差が出てしまいます。首周辺の神経は特に密集しているので、ミリ単位で角度と深さを調整する必要があります。
その後、全身のバランスをチェックして、首への負担を少しでも減らすようにロルフィングの手技を行いました。

まとめ

約3ヶ月で首の痛み・右腕のしびれもすっかりと良くなりました。手術をしなくて済んで本当に良かったとご本人もとても喜んでおられました。その後は3、4ヶ月毎の定期的な来院で症状に悩ませれることもなく快適に生活されております。
手術は本当に最後の手段だと考えて、出来る限りの保存的治療で様子を見ていくことが大切ですね。