キャロル・フークスさん : トライアスリート/トレイルランナー/登山家

Mt. Everest

掲載内容と使用写真に関して、ご本人の了承を得ております。

Carole Fuchs:Professional Alpinist, Trail-runner and Triathlete

2018年5月20日、エベレスト登頂成功。
そして、無事に帰還した元気な姿を先日見せてくれました。
今日は、彼女が成し遂げたこと、彼女がエベレスト登頂時に感じていたこと、彼女の今後の展望を、皆さまにご紹介させていただきます。

彼女は、超長距離を得意とするプロのトライアスロンアスリート、トレイルランナー。また生来の登山家でもあり、ネパールにおいて非常に高度な技術が要求されるアマ・ダブラム(6,812m)の単独登頂、マナスル(8,163m)の登頂を成功させている。
https://note.mu/carole_fuchs/n/n140e3beb229a

トップアスリートの体から感じること

彼女に初めてお会いしたのは、エベレストチャレンジ前の今年の2月でした。
彼女の身体はトップアスリートそのものであり、しなやかに力強いという表現がピッタリと当てはまる筋肉の質をしていました。
両親から受け継いだ先天的な要素と、これまでのアスリートとしての活動や自然との関わりを通して育まれてきた人生の賜物であると感じました。
まさに「健全な精神は健全な肉体に宿る」を体現されているという印象を強く受けました。

私自身施術を行っている中で、クライアントの方の個々の身体症状と当人の考え方が相関していると感じることが多々あります。
それはまるで筋肉のテンションがその人の生き方を反映しているかのように、施術に対する反応から、物事に対する向き合い方が投影されているかのように感じるのです。
キャロルさんからは、人生のあらゆる瞬間の揺らぎ(良いときも悪いときも)を受け入れたその上で、楽しむという側面に焦点を合わせているという印象を感じ取りました。

8,000mを越えて

世界最高峰エベレストへの登頂は登山家にとっての大きな目標であり、人間としての身体の極限への挑戦です。
人間のリミットに挑戦した彼女から聞いたエベレスト登頂時における所懐とは、

“低酸素の高地という極限にいる時、「生」に対する意識が希薄になってしまうような感覚に襲われることがある”
というものです。
いくら高地順応をしっかりと行ったとしても、死と隣り合わせの環境においては、脳における認知機能に僅かな歪みが生じているかのようでした。

“チャレンジがどのような結果となったとしても、生還することが最重要タスクである。そして、人生という探求の中では、どのような結果からも学ぶことができる。”
と彼女が発した言葉は、深く私の心を捉えました。
「どのような結果にも学びがある」というのは言い古されたフレーズですが、人間の限界に挑戦し達成した者から発せられる言霊に、心を動かされたのです。

そして、エベレスト登頂直後の下山中に感じた想いも伺うことができました。
“今回はエベレストである彼女に真の自分自身で向き合えたと感じていない(酸素を使用したため)。下山途中、エベレストの登頂の頂きを振り返って見上げた時に、今度は本当の私自身であなたと向き合えるように必ず戻って来るから”

mt everest

挑戦は続く

極限からフラットな生活に戻ってくることは、どこかで退屈さを感じてしまうのかもしれません。
ただ彼女においては、最高峰の山々への挑戦だけでなく、自然の中を走ることや都市でのトレーニングにおいてでさえ、インスピレーションを受けることができる瞬間なのだと思います。
バンコクを活動に拠点とする彼女ですが、トレイルランニングにおいての転戦、今後の14峰無酸素登頂への挑戦も応援していきたいと思っています。

carole fuchs