NLPと「心」への向き合い方

 

前回はストレスへの対処方法を、東洋医学における「心」の整え方の観点にてご紹介しました。
今回は、言葉と思考がどのように「心」に影響を与えているのかを、NLPの観点を踏まえてご紹介します。

NLPとは

私は10年ほど以上前の4〜5年間、NLPという心理療法を学ぶ機会に恵まれました。
このNLPを端的に現すと、「言語の使い方と非言語のパターンを鍵として、望ましい変化のために無意識領域へのアプローチを行う技法」だと言えます。
学んだのはNLPラーニング山崎啓支氏の元であり、数多くいるNLPトレーナーの中でも山崎氏の講座は、最大限の効果性を引き出すために人間の本質の理解を促す内容になっていたことが特徴的なコースであったと思います。

師匠でもあり良き兄のような存在である山崎啓支氏の元でみっちりと学ばせていただいたこの期間は、鍼灸やロルフィングを行う臨床の場において、人との関わり方の礎を築かせてもらえたと思っています。
先日、久しぶりにお会いできる機会があり、NLPというワークの可能性について改めて思いを巡らせるきっかけになりました。

 

NLPの基本前提

NLPの中には基本前提というものがあります。
代表的ないくつかをご紹介すると、

1.人は常に現在可能な最善を尽くしている。
2.誰かにできることならば、他の人(あなた)にも可能である。後はやり方を知るだけ。
3.地図は領土ではない。
4.人は効果的な変化のために必要なリソースを既に持っている。
5.失敗は無い、フィードバック(学び)があるだけ。
(すべての結果は何らかの達成である。ただ、与えられた課題や内容について望んでいたものであるか、そうでないかが違うだけ。)
6. 心と身体は一つの有機的なシステムである。
7.全ての行動には肯定的な意図がある。そして、全ての行動には役に立つ場面がある。

これらの前提をどれだけ深めていけるかにより、NLPのワークでの効果性が全く変わってくることを体験しました。
この前提の中でも、今回は、2.誰かにできることならば、他の人(あなた)にも可能である、後はやり方を知るだけ。に関して、ウォルト・ディズニーの思考方法を取り上げます。

 

ディズニーストラテジーとは?

ディズニーストラテジーというワークがあります。
ウォルト・ディズニーの成功の秘訣、それは彼の独特な思考方法にありました。
その思考方法を研究し体系化すると、役割の異なる3つのポジションの視点より、構想を練り上げていたことが見出されました。

3つのポジションとは、
1、ドリーマー(夢想家)のポジションにて、アイデアを出し、
2、リアリスト(現実化)のポジションにて、実行計画を立て、
3、クリティック(批評家)のポジションにて、問題点をあぶり出す。

この3つをあたかも、3人の人格が存在するかのように使い分けることにより、ウォルト・ディズニーはディズニーワールドの世界観においてあれほどの成功を収めるに至りました。
聞けばなんてことはないようなワークかもしれませんが、実際に3つのポジションの場所を設定し(ディズニーは3つの部屋を使い分けていた)、五感を伴ってありありとその人格になりきることにより、描き上げた3つの異なる夢の統合が、今なお世界中の人々を魅了していることこそが、何にもまさる証拠でしょう。

思考の迷路に落ち込んでしまっている自分自身に対しても、このようなシンプルなワークを通じ異なる視点から自己を見つめ直すことが可能になります。

順番に3つの人格になりきってみると、まずは偏り囚われていた思考の制限に気付きます。
あっ、「◯◯でなければならないに縛られていたな」と。
次に、自分にはまだまだ挑戦できる可能性の数々があることに気付くでしょう。
「あれもありだし、これもありだな。」と。
そして、混乱していた本当の問題に気付くはずです。
「ただ、このポイントでつまずいていただけなんだ。」と。

happiness

たとえ頭では分かっていても、試練や苦しみの渦中において、肯定的な側面への深い気付きを得ることは簡単ではありません。
混乱している渦中にいるときは、建設的な考え方をしたくてもできません。
ポジティブに考え、行動計画を立てなければいけないと分かってはいるけど、その方法の糸口すら見出せません。

このような思考の行き詰まりを感じてしまった時、NLPにおけるワークを行い、無意識領域を整理することにより、物事の捉え方が変わることをこれまでにも数多く経験しました。

一度、自己を客観視できると、思考の制限が解放され、より自由度の高い柔軟な発想ができるようになります。
その時すでに、これまでの思い込みや信念が書き換わっていることをしばしば経験するのです。

 

まとめ

NLPの中には様々な効果的なワークがあるのですが、山崎氏の元で学んだことはワーク自体が効果性を生むことに加え、人間に対する深い洞察があってこそ、よりワークが機能するということでした。

NLPの基本前提にもあるように、心と身体は一つの有機的なシステムであり、心を軽くすることは体を軽くすることに直結します。

2回に渡って紹介した「心」の整え方と「心」への向き合い方。
言葉を適切に用いて現状を認識することと、心の器である身体を柔らかく保つことにより、対処しやすくなるのだと考えています。

この2回のシリーズでご紹介した「心」をどのように捉えるのかを元に、当院ではこれまでの学びも踏まえて、心身のバランスを整えるべく日々施術に臨んでおります。