鍼治療で感じていること 前編
「鍼をしている時、何を感じているのですか?」
「どのような感覚で治療を行っているのですか?」
普段治療を行っている際、患者様からこのような質問を受けることがあります。
鍼と灸という極めてシンプルな道具を用い、症状の改善や痛みの軽減という望ましい結果を出していくために、何を感じどのように治療を行っているのか。その一端をご紹介したいと思います。
鍼灸治療では主に、症状がある場所に鍼をする局所治療と、
痛みのある局所を治療する際には、身体を立体的に捉える必要があります。
特に腰周りは筋肉も厚いため、皮膚の表面→筋膜→筋肉→靭帯→神経、といった具合に立体的な深さのある構造物として患部を詳細にイメージし触診します。
筋肉が発達している男性では、施術が必要な深さが5cm~6cm先にあることも多く、長い鍼を用いるために解剖学に基づいた立体的な身体の把握が必須になります。
針を刺す前の触診により筋肉や深部の靭帯の状態をしっかりと把握した後、実際に鍼を進めていきます。
ここで重要なことは鍼先で内部の状態を触診するかのように探りながら、原因のポイントを探し出すことです。
内視鏡で内部をみるかのように鍼先の感覚に集中する、つまり鍼先で身体内を触診しながら同時に治療していく感じです。
そして、患部であるポイントに到達すると鍼先から様々な感覚を感じることができます。
状態が良い部位の感覚というのは、弾力性があり不必要な抵抗もなく鍼が進みます。
悪い状態のポイントの感覚としては、鍼先に筋張ったような感覚や、消しゴムのような硬い弾力性のある物質に侵入したような感覚、軽石のようにカサカサした硬い物質にぶつかったような感覚など様々です。
筋張り、硬さ、カサカサ、粘り、などのポイントで鍼先を動かしているとスッと緩むような瞬間に至ります。
このような鍼先の感覚の変化が鍼の刺激が患部に上手く伝わったという目安になります。
鍼灸治療と一言で言いましても様々な切り口があり、
また、全体のバランスを整えるために行う手や足へのツボの効果は、
次回は、その東洋医学的なツボの観点から、