ロルフィングセッション7:Core(コア)を結ぶ −頭蓋骨−

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Nさんのセッション7を行いましたので、経過のご報告をしたいと思います。
セッション5までで上半身のバランスは改善し、セッション6では向上した身体のバランスに適した呼吸の仕方を身体全体に落とし込んでいきました。
自覚的にも調子は良いようでしたが、忙しくなってきたために腰に筋緊張を感じることが多かった、とのことでした。
お話されている雰囲気も良く、重力の元での呼吸の調和を他覚的にも感じることができました。
セッション7はコアを結ぶセッションになり、またスリーブからコアへと進んできた流れを頭に集約することによって、全体の調和を図ります。
 

進化の過程

Ida Rolf博士は こう言っていました。
人類はより垂直な状態に向かって進化している種である」と。
昨今のデジタル環境の浸透による頚部のアンバランスを予見していたかのような言説です。
首から上をどう位置付けるのかは全ての現代人にとっての命題であると思います。
セッション7では垂直性への進化を助けるためというテーマを意識しながら行います。
これまでのスリーブとコアのセッションを頭を基点にし、上方向性へとまとめていきます。
 

頭への結実

セッション7を始めるにあたり、まずはこれまでの6セッションで行った足から胸郭への膜のつながりを再確認します。
ここでは筋肉単体や2-3の筋肉同士のユニットとしての構造を捉えるのではなく、全体の調和という大きい視点の中で、動きのつながりの有無を観ます。
東洋医学における経絡の流れとも共通する部分であり、全体の流れの滞りの有無を観ているような感覚です。
Nさんには、膝と上顎周辺にある動きの悪さが見られました。
膝はX脚によるものであり、上顎は以前転倒した際に強打した影響が残っているようです。
頭頚部へのアプローチを行う下準備として、膝や胸郭に対してのアプローチを行い、足から上方への流れを活性化します。
実際に頭頚部へアプローチしてみると、顔面の強打により上顎骨に強いインパクトが残っていました。
上顎骨は特に脳と口腔を分ける重要な役割を担っています。
やや右側を強打しているので、右側の上顎骨に顕著な動きの悪さが見られました。
次に、ゴム手袋を着用し口腔内へのアプローチを行います。
顎関節を内側から構成する筋肉である、外側翼突筋と内側翼突筋に緊張が見られ、軽く触れただけでも痛みを感じられるような部位がありました。
口腔内からのアプローチにより、先程見つけた上顎骨の動きの悪さを改善し、翼突筋群をリリースしました。
さらに、潤滑剤を付けて鼻腔内のリリースも行います。
鼻腔を介して、鋤骨や篩骨に湾曲があるか、過度な圧迫を受けていないかどうかを確認し、蝶形骨と言われる深部にある骨の動きを同時に見ていきます。
Nんは転倒の影響で鋤骨と篩骨(鼻の奥の骨)の動きが特に悪くなっていました。
時間を掛けてゆっくりとリリースしたところ、「話す時に何かこもるような感じがしていたのが、スッキリとクリアに声が抜けるようになりました。」という感想をいただきました。
首~顔~頭へのアプローチを終えた後、最後に呼吸を体全体に広げるようなアプローチを加えて、コアのセッションを結びました。
 

スリーブからコア、そしてその先へ

これまで行ってきたスリーブの3セッションとコアの4セッションは主に制限因子に焦点を当て、残りの3セッションは主に発達向上因子である、何をどの方向に伸ばしていきたいのかというニーズに焦点を当てて行います。
例えるならばスリーブとコアの7セッションは各楽器のチューニングを行うことにあたり、残りの3セッションは各楽器を持ち寄りオーケストラの楽団としての調和を求めていくことになります。
特に最後の3セッションは個人個人によりテーマが異なるので、それぞれに全く異なるセッションを行います。
身体の構造にフォーカスする場合や身体の使い方にフォーカスする場合、またある時は身体と物事の捉え方にフォーカスする場合もあります。
Nさんの場合は、まず下肢に再度焦点を当てX脚と膝の過伸展に対するアプローチを進めていこうと考えています。
当初気になっていた症状はほぼなくなっているので、その上で出てくるあろう更なるニーズにフォーカスして施術を進めたいと思っています。