効果的な鍼を打つために 前編

Battojutsu 抜刀術
Photo by ひでわく – 抜刀術 / Adapted.

 

どうしたら効果的な鍼が打てるのか?
これは鍼灸師にとっての永遠のテーマだと思います。
今回は鍼灸師の方に向けて、私が考える効果的な鍼の打ち方とは、を綴ってみたいと思います。
また、鍼灸師でなくとも、体を使ったワーク全般にも言えることかと思います。

鍼を打つ際の手指の使い方に関しては指導される機会も多いかと思いますが、手指以外の部分に関してはあまり焦点が当てられていないのではないでしょうか?
ロルフィングを学び、自らも身体の使い方を見直すようになってから、施術の効果性が随分向上したことを実感しました。
ロルフィングでは重力に対する身体の使い方を見直していきます。
重力とはすなわち、人間にとって普遍的な事柄であるため、鍼灸施術の際にも応用が利くのです。

姿勢と施術の効果性?

身体の使い方を見直していくと、姿勢や所作が軽やかに感じられるようになります。
日本で言えば、武道や茶道や華道などの道を追求している名人には、皆共通して立ち居振る舞いや身のこなしが洗練されていることと似ている感覚だと思います。

では鍼灸治療という枠の中で考えてみると、なぜ姿勢や所作の洗練が効果性に違いを生むのでしょうか?
姿勢が崩れていても、また身体の使い方に力みが見られても、施術の効果が十分に出せれば、そういったことは特に考慮する必要はないのではないでしょうか?

まず、例え崩れた姿勢で効果を出せたとしても、その崩れた姿勢での施術が何年何十年と続けば、やがて自らの身体に不具合がでてしまうでしょう。
また、内側の無駄な力みも、外側の所作へと現れてしまい、結果として不必要な緊張を患者様の身体へと伝えてしまうこともあるでしょう。
ロルフィングを通して見直すことができた自分自身の身体の使い方からも、力みのない姿勢やスムーズな所作は施術の効果性に関わってくる大きな要素の一つだと確信しています。

胸郭と骨盤のバランス

ロルフィングでは、姿勢や所作、つまり身体の使い方を、重力との関係性として捉えています。
その中でも身体の使い方を観る時は特に、胸郭(G’)と骨盤(G)がどのようなバランスの上に成り立っているのかを軸にしています。
*胸郭をupper center of Gravityの略としてG’ 骨盤をcenter of Gravityの略としてG

G’とGのアライメントがどうなっているのかを観ることが、重力の下での身体の使い方を見直す要点となります。
そして、上肢はG’から伸びているので、腕とG’の関係性にも着目します。
特にここでは、頭頚部との関係性がどうなっているのかもとても重要なポイントとなります。

これらを踏まえて、 効果的な施術を行うために具体的に何に着目すべきなのかを、次回後編にて「鍼を打つ際に大切な3つのこと」としてご紹介したいと思います。