8月のお盆前、まるで梅雨が戻ってきたかのようなぐずついた天気が続く東京に、ロンドンから来た一人の達人が降り立ちました。
知る人ぞ知る、ロンドン鍼灸業界の仙人かつ合気道の達人である濱野 栄太郎先生です。
私がロンドン滞在時にお世話になっていたクリニックの同僚の先生であり、風貌が物語っているように、鍼灸と武術の求道者である先生とは、マニアックな身体談義に日々花を咲かせていたことも、今では懐かしい思い出です。
濱野先生の今回の来日目的は、所属している鍼灸学会の2年に一度の学術大会への参加と、その大会の海外からの出席者のための通訳としてでした。
昨今では、日本の鍼灸術を学びたいという外国からの参加者の方が急増しており、ヨーロッパでも日本の鍼灸学派の関連支部が設立されるまでになっています。
私見になりますが、世界の現状では、鍼灸治療というとほぼ9割以上が中国針灸であると認識しています。
どこの国にも中国移民により形成される中華街があり、その中に針灸や中薬、推拿を生業とする人々が暮らしていることにも現れています。
ヨーロッパで鍼灸治療を学ぼうと思うと現在はほぼ中国式になり、中国針灸ではどうしても刺激が強くなる傾向にあることから、繊細なテクニックを求める施術家の中で、日本鍼灸がその対案として求められるようになってきました。
日本からも高名な先生方が、技術の伝承のためにアメリカやヨーロッパへと定期的に招かれ各国で講習会が開催されていることからも、日本鍼灸への注目度が伺い知れます。
濱野先生には今回、現在私が実践している鍼灸とロルフィングを融合した施術を受けていただき、ワークショップや講習会の開催のご要望もいただきました。
秋口には施術者もしくは鍼灸学生向けのワークショップを開催したいと考えており、次回来日される際には、その様子も詳しくお伝えできるのではないかと思います。
また次回、日本もしくはロンドンにてお会いできることを楽しみに、久しぶりの再会は幕を閉じました。
濱野先生は、ロンドン中心部にあるナチュラルクリニックピカデリー院に勤務されていますので、ロンドン在住の方、もしくは旅行中に鍼灸治療が必要になった方は、ぜひ行かれてみてください。