人工知能とヘルスケア
近頃、至る所で「人工知能」「AI」という言葉を目に耳にするようになってきました。
実際にはどの程度、実生活で応用されているのでしょうか?
インターネットで人工知能を用いた興味深い事例紹介の記事を見つけました。
BBC NEWSの記事
Business Insider UKの記事
IBMの記事
以上の記事を参考に、今日は医療への人工知能の応用を取り上げてみたいと思います。
ワトソンによるがん診断支援
アメリカでは、15秒で4,000万件の論文を参照できるという人工知能ワトソンの機能をフルに活用して、ワトソンにがん診断のための情報を検索・収集させ、担当医師に的確なアドバイスを出す仕組みが現実になっています。
既に数多くの医療機関がこの仕組みに参加して、ワトソンをクラウド上で共同使用しているそうです。
がん診断は特に医師個人の能力に依存する割合も大きく、また僻地などの専門医が乏しい場所では適切な診断が行われないこともあるようです。
これからの医療は医師の経験の差に関わらず、世界中のあらゆる症例や最新の知見に基づいた人工知能をクラウド上で用いることで、最も的確な診断や治療方法を導き出せるようになっていくのだと考えられます。
アルバートヘイ小児病院の事例
イギリスのアルバートヘイ小児病院では、入院患者のケアのために人工知能アプリの運営が始められています。
入院患者はIBM ワトソンを搭載したアプリをタブレットやスマートフォンにインストールすることができ、子供が親しみやすいようにアバターを用いたキャラクターを設定し、子供はそのアバターと気軽にチャットしたり、遊んだり、アバターが問いかける質問に答えたりします。
また、子供側からもこのアプリを通して病院に質問をすることができます。夕食のメニューであったり、病院の治療に関する疑問点であったりなどです。
そこでのやりとりで得られた情報から、ワトソンは子供が今どんな心理状態なのか、感情の機微を映し出します。病院は、ワトソンが映し出した子供たちの情緒の揺れ動きをリアルタイムで把握することができるのです。
”人工知能アプリを導入することによる最も重要なエッセンスは、患者が今、何を考え、何を感じ、どう思っているかという心緒を病院が把握し、そこに配慮できる可能性があるということだと思います。”
IBMはこのアプリの開発の目的をこう答えています。
ただ新しい取り組みにはクリアしなければならない懸念材料もあります。
ワトソンを通じて得られた情報をどのように管理していくのかということや倫理観の問題、また現在は実験段階ということもありコストの観点も議論の的になっているようです。
変わらないもの
この先の未来では、私たちはますます人工知能が搭載されたデバイスを活用し、ロボットと共生する時代が来るのもそう遠くないのかもしれません。
インターネットも私たちの生活を激変させましたが、人工知能もまた私たちの生活を一変させることでしょう。
生命(生老病死)に関わることは太古の昔から人間の命題であり、その分野に新たなテクノロジーが応用されることも歴史が証明しています。
人間を取り巻く環境も変化し、人間を理解できるモノサシも進化してきました。
ただ、人間自身のシステムは人類が誕生してからあまり変わっていないように思います。
人工知能の本格的な運用が始まったとしても、人間のシステムとしての本質は3000年前と何ら変化していないのであれば、私の仕事はまだまだ皆様の健康に貢献し続けることができると感じています。