ロルフィング®Q&A:セッションが10回で完結する理由
それはなぜなのかを詳しく見ていきましょう。
目次
ロルフィングはなぜ10セッションで構成されているのか?
コロンビア大学で博士号を取得した女性の科学者であるアイダ・ロルフ。
彼女の人体に対する飽くなき探究と、長年の経験から導かれた直感から、最も効果が出せる10回シリーズとして確立したロルフィング。
今回は、ロルファー服部が考える「セッションが10回で完結する理由」をお伝えします。
3つのパート、2つのグループで構成される10セッション
ロルフィング10セッションは大きく3つのパートに分けられます。
セッション1~3:スリーブ「表層から中層における部位へのアプローチ」
セッション4~7:コア「深層部に位置する組織へのアプローチ」
セッション8~10:インテグレーション「スリーブからコア、全ての層への総合的なアプローチ」
3つに分けられたパートを、更に2つのグループに区別します。
セッション1~7:静的ライン「制限因子に焦点を当てる」
セッション8~10:動的ライン「可能性や潜在力に焦点を当てる」
静的ラインと動的ライン:調律と調和
私のロルフィングの師匠の一人、Giovannni氏は「調律と調和」という表現を用い、「静的ラインと動的ライン」を以下のように説明してくれました。
セッション1〜7は各楽器をチューニングしていくようなセッションです。
ピアノや弦楽器や管楽器の調律を行うように、人体の各部位を調整します。
そして、セッション8〜10では、これまで調律した各楽器を持ち寄ります。
オーケストラとしてどのような曲をどのように演奏するのか、ハーモナイズさせ調和させるためには何が必要かに焦点を当てるのです。
セッション1〜7では、筋膜へのアプローチを中心に行い、筋膜のねじれや癒着の制限箇所を調整します。
その過程で、同時に身体の使い方や感覚を再学習することにより静的ライン(軸)を整えます。
セッション8〜10では、整えられた軸の活用のしかたを学びます。
これが動的ラインを見出すことであり、本来持つ潜在力が開花し、可能性が引き出されるのです。
本当に10回も必要なの?
ロルフィングは「身体の再学習を通して、新たな重力とのバランスの取り方を学ぶこと」だとこれまでの記事でも紹介してきました。
更に簡単に表現すると、「軸(静的ライン)を整え、軸の活用のしかた(動的ライン)を見出す」とも言えます。
そのためには、盲点として根付いている長年の癖に気づく必要があります。
筋膜のねじれや癒着として形成された盲点を一つ一つ解くために、軸を整えるための7セッションがあるのです。
この7セッションで行う、構造へのアプローチ(筋膜リリースとも呼ばれる手技的観点)は特に欠かすことができません。
自分で気づくことができない盲点に気づくためには、他者からの働きかけが必要になるからです。
- 最も重要な、筋膜へのアプローチ
- 身体の使い方の見直し
- 感覚の再学習
そして、整えられた軸(静的ライン)の活用のしかたを見出すために更に3セッションを要します。
- 退化してしまった感覚や不活性な筋感覚の学び直し
- 重力下において最適なバランスを見出す
- 掴んだ新たな感覚を、コツとして腑に落とす
創始者アイダ・ロルフが確立した10回のセッション。
短すぎることもなく、長すぎることもない、完璧にデザインされたセッション構成。
ロルフィングのプロセスを完成させるためには、やはり10セッションが必要なのです。
まとめ
「学び直し」や「再学習」を行うには、何かの基準に拠る必要があります。
ロルフィングでは、【重力】を最も重要な基準としています。
重と力という漢字を合わせると、【動】となり、【うごき】と捉えることができます。
軸を整え、整えられた軸の活用のしかたを見出すことは、重力の元でどのように【動く】のかと深い関係があります。
静的ラインと【動】的ラインを見出すことも、同様です。
アイダ・ロルフが確立した10セッションは、「構造、使い方、気づき、見出す」への働きかけを通して、【重力】との関わりを学び直すことができるのです。
ロルフィングQ&A、次回は「10セッションの効果はどれくらい継続するの?」にお答えしたいと思います。
「ロルフィング®Q&A:10セッションの効果はどれくらい継続するの?」