ロルフィングとバリ舞踊【身体の使い方の再学習】

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12月からロルフィングセッションをスタートさせたKさん。

Kさんは以前熱心に行っていたバリ舞踊を、昨年から再開されました。久しぶりにバリ舞踊を再開してみると、昔は気づかなかった細かな身体の使い方に気づき始めたとのことでした。

そんなKさんの、スリーブと言われる初めの3セッションを終了しましたので、ダイジェストをご紹介します。

Kさんのロルフィングセッションにおける悩みやテーマは、

  • 重心を感じにくい
  • 深呼吸がしにくい
  • 足裏を感じづらい
  • 腹部からの繋がりで動きたい

「師事している先生の様な動きで踊ってみたい」「やるなら以前よりもっと上達したい」との目標も話してくださいました。

 

バリ舞踊とは

・バリ舞踊(バリぶよう)はインドネシアのバリ島でバリ・ヒンドゥーの儀式や冠婚葬祭の際に演じられる舞踊。
・各寺院には専属ダンサーがいる。
・バリ民族にとってバリ舞踊は生活やヒンドゥー教に欠かせない。
・バリの舞踊は高度にパターン化されており、静から動、動から静へと反復構造で進行する。
・その所作の全てがガムランの音楽と密接に連携する点が特徴となっている。

wikipediaより引用 

balinese dance

動画を見ていただくと分かるかと思いますが、バリ舞踊は手や腕顔や首の動きに特徴があります。

ロルフィングの観点より、バリ舞踊の動きを改善するポイントは3つ。

 

  • 手や腕の使い方
  • 首の使い方
  • 手と首をまとめるための、体感と下肢の使い方

 

そして、Kさんが理想とされ目指す動きとは、次の様なものでした。

  • お腹から全ての動きを始められるようにする
  • 足から体幹部、体幹部から手までの繋がりをしっかりと感じながら踊ること

 

動きの再学習のために重要なたった一つのこと

  • 内側の動きの本質を見抜くこと

身体の使い方を探求すればするほど、どのジャンルにも共通した動きの本質を見出すことができます。

本質的な身体の使い方に沿って、体を使えば使うほど、筋膜の動きも滑らかになり、コアから動けるようになります。

そのためには、外見の動きに惑わされるのではなく、内側の動きの本質を見抜くことが必要になるのです。

 

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  • どのように動きの本質を見抜くのか?

それでは、ロルファーはどのように動きの本質を見抜いているのでしょうか?

それは、こちらのブログ記事:【ライン】を知れば、ロルフィングの効果は持続する:後編でもお伝えした、「動きの中で背骨のカーブを保つこと」を大前提として観ています。

他にも専門的な様々な観点を総合して動きを捉えています。

一例として、下図の「背骨の動きの支点と湾曲との関連性」を注意深く観察しているのです。

 

rolfing movement

 

身体の使い方の再学習のための、3つのステップ

内側の動きの本質を見抜いた上で行う、再学習のステップはシンプルに3つに集約されます。

  1. 動きの癖への気づき
  2. 身体の使い方の再学習
  3. 本質的な動きの定着

 

1.動きの癖への気づき

  • 気づきとは

長年の動きの癖への気づきを意味しています。

そして、長年の動きの癖は、当人にとっては盲点となっているので、容易に気づくことはできません。

Kさんの場合の動きの癖(盲点)とは、上肢の使い方でした。

バリ舞踊では、体全体を連動させる鍵として、特有の上肢の使い方を行う必要があるからです。

 

 

 

  • 肩や首を主動にした動きの弊害

長年の動きの癖により、肩や首を主動にした動きがKさんの動きの特徴になっており、これが上肢の使い方に強く関わっています。

それは僧帽筋三角筋肩甲挙筋が動きの中心となっていることです。

上記筋肉が中心に働くと、肩や首の慢性緊張が生じ、体幹部の筋肉を上手く使えないという問題が生じてしまいます。

Kさんの動きの癖とは、このようにまとめることができます。

  • 僧帽筋、三角筋、肩甲挙筋が中心の動き
  • 肩や首を主動にした動き

 

  • 僧帽筋や三角筋や肩甲挙筋が動きの中心になると

動きが小さく見える」「動きのしなやかさがない」と言った方の多くの原因は、腕を使う際の動きが僧帽筋や三角筋や肩甲挙筋主動になっていることがほとんどなのです。

この傾向がある方は、立ったり座ったりする動きの時でさえも、首や肩を動きのスイッチとする傾向があるのです。

 

2.身体の使い方の再学習

  • 動きの再学習とは

長年の動きの癖を、より機能的かつ本質的な動きへと置き換えていく必要があります。

Kさんの場合のファーストステップ、それは全ての動きのスイッチとなっている僧帽筋や三角筋や肩甲挙筋を、背中や脇やお腹のユニット主動の動きに変換していくことでした。

Kさんの目指すべき動きとは、次のようなものであるべきなのです。

  • 脊柱起立筋、前鋸筋、腹斜筋が中心の動き
  • 背中や脇や腹を主動にした動き

 

  • 目指す動きへとスムーズに置き換えるために

Kさんの目指す動きとは、脊柱起立筋前鋸筋腹斜筋が主動の動きを指します。

この目指す動きに置き換えていくための橋渡しとして、上腕三頭筋の使い方の再学習をまず行うこととしました。

そして、上腕三頭筋を適切に使うための欠かせないスイッチが手掌と指の活性化であることも見逃せません。

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3.本質的な動きの定着

  • より良い動きの定着とは

1で動きの癖(盲点)に気づき、2でより本質的な動きへの再学習を開始します。

そして、3つめのフェーズでは、より良い動きの定着に焦点を合わせて行います。

長年の動きの癖は思ったより根深く、そう簡単には上書きできません。

ネットでは、多くのテキスト情報や動画情報が溢れていますが、実際の筋感覚を伝えることができる最大の強みがロルフィングセッションにはあります。

 

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私のセッションではできるだけ実際の身体の使い方を実践してお伝えしています。

間近で実際の動きを見ていただくことで、脳のミラー・ニューロンを介して、動きの再学習を加速することができます。

そして、動きの改善に必要な筋感覚を掴んでいただくために、筋肉や筋膜を実際に触っていただくこともあります。

ミラー・ニューロンを介した情報を、触覚を介することで、さらに豊富な情報を脳へと届けることができるからです。

動きの原理原則を知り、見て学び触って感じることで、動きの再学習が定着していくというわけです。

 

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まとめ

Kさんに見せていただいた、師事しているバリ舞踊の先生の動きは、さすがの一言でした。

足から体幹部、そして体幹部から上肢や首へと見事な繋がりがあり、さらに必要な箇所は細分化して動くことができている素晴らしい踊りでした。

Kさんはこれまで何人かの先生に師事されているのですが、その内の一人の先生の域まで到達できるように、今後の7セッションでしっかりとサポートさせていただきたいと思っています。