【ライン】を知れば、ロルフィングの効果は持続する:後編
前回「【ライン】を知れば、ロルフィングの効果は持続する:前編」では、ロルフィングにおける姿勢を考える上で大切な概念の一つ【静的ライン、動的ライン】をご紹介しました。
今回はその中でも、重要な動的ラインを詳しく見ていきましょう。
動的ラインを整えるために必要な3つのこと
- 動的ラインを整えるための「背骨の基本」を知ること
- 盲点になっている「感覚」や活性化されていない「筋感覚」を再学習すること
- 現在の自分の動きを「モニター」でき、都度「修正」できること
背骨の基本とは何か?
背骨のカーブは図のように頚椎は前湾、胸椎は後湾、腰椎は前湾という丸みを形成しています。
この3つの丸みを潰さずに動きを作れるようになるのが、動的ラインのゴールとなります。
動的ラインを考える上で大切な「背骨の基本」は、動きの中で背骨のカーブを保つことだと言えるのです。
前編でお伝えした何らかの動きの連続の中にナチュラルなラインを見出していくこととは、すなわち背骨のカーブを保ちながら動きを行うことということなのです。
- 背骨のカーブの潰れが、各筋肉に余分な筋緊張を引き起こします。
- 無意識の余分な筋肉の緊張とは、長年の染み付いた動きの癖により生じています。
- これが、偏った筋肉の使い方を定着させる大きな原因であり、慢性的なコリの形成につながっています。
どのように背骨のカーブを保つのか?
一例を上げてみます。
よくある、前かがみで物を持ち上げようとする動きです。
前かがみの姿勢では、背骨のカーブの中でも、頚椎と腰椎の前湾が潰れやすくなります。
潰れてしまった前湾の影響を最も受けるのが、腰の筋肉。
そのため、物を持ち上げるときにぎっくり腰が多くなるのです。
ではどのように背骨のカーブを保てば良いのでしょうか?
前回お伝えした動的ラインのコンセプトの中に、その秘訣はあります。
それはこれまで使ってこなかったエリアを意識的に使う必要があるということです。
例えば、腰椎のカーブを保つには「下腹部の奥」、頚椎のカーブを保つには「首の前」を使う必要があります。
「腰を伸ばす、頚を伸ばす」と意識してしまうと、余分な緊張が腰や頚に入ってしまうというわけです。
盲点になっている「感覚」を活性化し、その「筋感覚」を再学習することにより達成されるのです。
ロルフィングでは施術者の手技と受け手の動きの要素をミックスして行います。
退化してしまった感覚や不活性な筋感覚を再度学び直す必要があるためです。
そのためには、受け手の意識的なアプローチなくして、動きの変化「=背骨のカーブを潰してしまう癖の改善」は望めません。
「ロルフィングと筋膜リリースの違いとは?:ロルフィングのこともっと知りたい!」
生活の中で整え続けるために
エアコンを想像してみてください。
室内の温度を常にモニターしつつ、適宜微調整を行うシステムが働いています。
もし、温度を感知するシステムが壊れていたら、どうなるでしょうか?
これは、そのまま動的ラインを保つことに当てはまります。
ロルフィングセッションの中では、施術者の手技で筋膜のバランスを、受け手の動きで感覚の再学習を行います。
その中で、背骨のカーブがいかに大切なのかを学び、感覚や筋感覚のコツを掴んでいくことになります。
そして、コツを基準に日常生活の中で自分自身をモニターし、都度、動的ラインを心地よく修正し続ける必要があるのです。
「ロルフィング5つのニーズ別、事例紹介」
上記事例紹介の中で特に「Sさんとのロルフィングセッション 8〜10」では、動的ラインを【背骨のストリームライン】として紹介しています。
まとめ
どちらも大切な静的ラインと動的ライン。
一般的にはまだまだ知られていない動的ラインを整えることができるのが、ロルフィングの強みであるといえます。
このことにより、重力下において最適なバランスを見出し続けることができるのです。
最適なバランスとは、「今よりも心地よい身体に出会うこと」。
心地よい身体に出会うことにより、皆様のお悩みが自然と解消されていくのです。
「「空間」と「スペース」:ロルフィングのこともっと知りたい!」