ロルフィング セッション1:胸郭(呼吸)と骨盤

胸郭部のイラスト
photo credit: Ribcage Water Colors : license

先月からロルフィングの10セッションを始められた方の経過報告です。(ご本人の了承を得ております)

36歳 女性 会社員
日頃はパソコンでの仕事が主であり、背中のコリ感が特に気になる。歩いている時にも腕の付け根が突っ張ってくる様な感覚があり、右肩が上がっていて腕が上手く動いていない気がする。以前転倒した際に前歯を強く強打し、その衝撃で前歯を折ったことによる顔の骨の違和感と固まった様な感覚がある。

胸郭(呼吸)と骨盤

セッションの開始にあたり、まずは大きい呼吸に伴なう身体の動き方や歩行時の動き方を観察します。
全体的な身体の状態を把握した後で、セッションを始めます。

セッション1では胸郭と骨盤部に着目します。歩き方を観察した際に、自覚症状にあったように腕と胸郭の連動性が低下しているのが顕著に現れていました。

腕と胸郭の連動性という観点では、
・肩周辺の筋肉群
・腕の骨と肩甲骨のバランス
・肩と骨盤の連動性
を見るのが一般的だと思いますが、

ロルフィングでは、
・腕から肋骨にかけての筋膜の動き
・腹膜や骨膜との兼ね合い
・頭頚部と他の部位(肩、横隔膜、股関節、膝関節、足関節)との関わり
など、対象の部位と他の部位のつながりに働きかけます。

さらに脈診や腹診や舌診で東洋医学的に身体の内側の状態も把握することによって、
・肩と経絡のつながり
・肩と内臓のつながり
などを多角的な観点より判断します。

※今回の自覚症状である肩との関係性をチェックしていく際の項目です。実際は各部と全体の様々なつながりを判断しながらセッションを行います。

3つのポイント(肋骨・骨盤・顔の骨)

背中のコリは肋骨から

肩甲骨の内側のコリ感の原因は肋骨の動きの悪さが原因であることが多々あります。Nさんの背中のコリの原因も肋骨9・10番の動きの悪さによるものでした。

骨盤のズレよりも骨盤の動き

肋骨と骨盤は連動して動きます。Nさんは骨盤の自覚症状は特になかったのですが、骨盤部に動きを伴ったアプローチを加えると、左右の違いがとても顕著に見られました。
ロルフィングでは肋骨と骨盤は切り離せない一つのユニットとして考えられています。

顔の骨の違和感

顔の骨の動きは思った以上に身体の様々な場所へと波及します。今回の場合は、前歯を激しく打ったことによって、上顎骨という骨を通じて衝撃が周囲の骨や脳に伝わりました。
脳を保護する細かな骨のバランスが崩れることが、思いもよらぬ不定愁訴の原因になることがあります。
幸いNさんの場合は、身体の他の部位への波及はあまり見られないので、シンプルに顔の骨のバランスを整えると症状が緩和される状態でした。

 

セッションの最後に立って確認した際、骨盤の上に上半身がしっかりと乗っている感覚を感じられていました。

数日後のメールでも、一回目のセッション以来、これまであった肩甲骨の下のコリ感を感じることがほとんどなくなり、顔周りの動きも軽くなった感じがします、との感想を頂きました。

 

ロルフィングのセッションの特徴は、部位と部位との関係性にワークをしていくところにあります。
例えば首の症状の原因が横隔膜にあったり、足にあったりすることが多くあるからです。
その離れた部位の間にあるつながりを見つけ動きの悪さの制限を取ることが、症状の軽減に大きく関わってきます。
その中でもセッション1は、胸郭(呼吸)と骨盤という人間の身体のしくみの重要な部分へのアプローチが詰まったセッションです。
Nさんのこれからの変化が楽しみな1回目のセッションとなりました。

 

 

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