K.Aさんとのロルフィングセッション4〜7
K・Aさんとのセッションもコアと言われる4〜7セッションが終了しました。
セッション1〜3 を通して、K・Aさんの身体的特徴には、以下のようなギャップが見いだされていました。
- 下肢の感覚はとても繊細に発達している
- 上肢の感覚は鈍く筋肉もあまり上手く使えていない
この上肢と下肢のギャップに着目しながら、それぞれのセッションの経過をご報告します。
セッション4:膝の過伸展の原因?
K・Aさんの下肢の感覚はとても繊細に発達しています。
そのため、細やかな筋肉の使い方などの再学習もスムーズに進みます。
K・Aさんの下肢のポイントは膝が過伸展であること。
その原因は立位で踵重心になっているため、足指がしっかりと使えていないことにあります。
セッション4では、体を足指でもしっかりと支えられるように、手技や身体の使い方を中心に、足指や足底の活性化を行いました。
セッションが終わった後に確認したところ、膝が真っすぐのポジショニングを自然と取れるようになっていました。
今後の課題としては、プランクや腕立て伏せの動きが苦手なことが上げられます。
これはスリーブセッション時からのテーマであり、ハイハイをあまり行ってこなかったことにより、指-肩や体幹部が十分に発達していないために起こってくる現象です。
上肢と体幹のコーディネーションを向上させるという今後の目標を確認し、セッション4を締めくくりました。
セッション5:肩甲骨を効果的に使う
セッション5を行ったのは、残暑の厳しい9月上旬でした。
少し夏バテ気味のご様子。体調を整えるために、鍼灸治療を加えたロルフィングセッションを行いました。
当院のロルフィングセッションでは、体調を考慮しながら鍼灸治療を取り入れることがあります。
セッション3で行った「指と肩甲帯の使い方の再学習」をさらに進めるべく、今回は肩甲骨の使い方に焦点を当てることとなりました。
指や肩の感覚を掴むためには、肩甲骨をより適切に使う必要があります。
肩甲骨を効果的に使えるよう、鎖骨と上腕骨と肩甲骨を連動させるトレーニングを行いました。
上肢と体幹部を協調させて動かすには、これら3つの骨の連動が欠かせません。
肩甲骨の使い方は様々な場面で取り上げられてはいますが、自分自身が本当に上手く使えているのか半信半疑な方もいらっしゃると思います。
そのため、ロルフィングセッションでは、肩甲骨を深く動かせるようなコツを体得してもらえるように工夫しています。
今回の肩甲骨の使い方は、K・Aさんにとって指や肩の再学習を進めるための、とても良いベースとなりました。
セッション6:抗重力筋の使い方
これまでのセッションを通して、下肢の重心のバランスが随分掴めてきたK・Aさん。
日常生活の中での足指の意識が定着してきたことが大きく貢献しているようです。
セッション6はバックラインと呼ばれる、身体の後ろの「構造」「使い方」「感覚」にフォーカスしていくセッションとなります。
バックラインに関わる筋肉とは、一般的に抗重力筋と言われる筋肉群に当たります。
※抗重力筋とは、重力が加わったときに主に身体を支える筋肉であり、姿勢の形成に関与しています。
頚部伸筋群(首の後ろの筋肉群)、脊柱起立筋(背骨の脇を縦に走る筋肉)、ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)、下腿三頭筋群(ふくらはぎの筋肉)に代表されます。関連記事:重力に関して -腰痛の治療から考える-
これらは「構造」面でも重要な働きをしているのですが、「使い方」や「感覚」の面でも重要な役割を果たしています。
身体の後ろ側はロルフィングにおける重要な考え方の一つである、「スペース」というものに深く関わっているからです。
「「空間」と「スペース」:ロルフィングのこともっと知りたい!」
身体後面の空間を上手く認識できているかどうかが、姿勢の良し悪しや呼吸の深さ、更には個人個人の時間感覚などにも影響を与えているのです。
K・Aさんの場合は、身体後面のスペース感覚を歪みなく、適切に認識できていました。
実際のセッションでは、バックラインの皮膚感覚を適切に把握できているか、など幾つかのポイントを押さえることにより確認しています。
また、東洋医学に携わっている者にとって、重要な内臓のツボが並んでいる背中から腰にかけての脊柱起立筋は見逃せないエリアです。
個人的な見解ですが、内臓のツボの反応点と筋膜との関わりは、その方の体質と見事に一致します。
K・Aさんに関しても、体質と活性化しづらい筋膜のユニットとの関連が明確に現れていました。
今後行っていく上肢と体幹の連鎖を更に深める上でも、とても参考になるセッションとなりました。
セッション7:特徴的な口や鼻へのアプローチ
セッション7はロルフィングを特徴付ける、特色のあるセッションを行います。
一般的な整体などではなかなかアプローチすることがない、口の中や鼻の中を、ゴム手袋を用いて丁寧にアプローチするのです。
- 口の中にアプローチする理由
- 歯の動き→上顎や下顎の歪み→頭蓋骨のバランスを確認することができる。
- 内側からしかアプローチできない内側翼突筋や外側翼突筋と言われる、顎関節に関わる筋肉がある。
- 鼻の中にアプローチする理由
- 鼻中隔と言われる鼻の中のしきりの歪み→頭蓋骨のバランスを確認できる。
- 鼻の奥の骨(鋤骨や篩骨)のバランスを確認することにより、頭蓋骨の全体像をより詳細につかめる。
首〜顔、頭へのアプローチを丁寧に行った後、これまでの1〜7のセッションを頭のてっぺんに集約させるようなアプローチを行います。
このことにより、スリーブからコアへと続いた7セッションを一度まとめ、残りの3セッションへの布石とするためです。
まとめ
コアの4セッションを通して、元々得意だった立位時の下肢の感覚をしっかりと再学習されたK・Aさん。
残るは上肢と体幹をいかに上手く活性化できるかに掛かっています。
自転車の乗り始めは、誰でもふらついてしまうもの。
苦手な部分の学び直しは、どうしても学びづらいこともあるかと思います。
今の曖昧な状態を越えると、その先は想像されている以上の快適な感覚に出会えることでしょう。
残りの3セッション、楽しんでやっていきましょう!
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