K.Aさんとのロルフィングセッション1〜3

KA rolfing session 1-3

 

7月からロルフィングセッションをスタートさせたK.Aさん。
ヨガや様々な食養を実践されており、週末には定期的に夏山登山に勤しまれています。
そんなK.Aさんの、スリーブと言われる初めの3セッションを終了しましたので、ダイジェストをご紹介します。

K.Aさんのロルフィングセッションにおける主な目的は、

  • 足に力が入りづらい
  • 疲れやすい
  • 肩こりがある

などの自覚症状を改善したいというものでした。

そして、自分の体の可能性をもっと探ってみたいというニーズもあり、ロルフィングセッションを受けていただくこととなりました。

セッション1:呼吸

ロルフィングのセッションで焦点を当てる二つの大きなポイントに、呼吸と歩行があります。

  • 「呼吸」と「歩行」
  • その人のクセが端的に表れている
  • 筋膜パターンの重要な指標
  • 身体の使い方へのアプローチでは必ず見るべき基準

セッションの開始に当たり、K.Aさんの呼吸を観察すると、胸郭が十分に機能していないことが見受けられました。

そして歩行に関しては、足指があまり使えていない方に見られる典型的なパターンを呈していました。

rolfing session 1

  • 主に胸郭へのアプローチを中心に行うセッション1

呼吸に際して機能していない上部肋骨へのアプローチと、上肢の動きの要である肩甲骨の動きを引き出すべく、菱形筋部へのアプローチも行います。

手技によるワークを終えて体感いただいた変化としては、仰向けで寝転んだ時に肩や背中がピタッとくっついた感じがするとの感覚でした。

K.Aさんは、胸郭が機能していない方に多く見られる呼吸の浅さと、肩甲骨の可動性の低下が顕著に出ているタイプであり、腕を上げる動きを苦手とします。

例えば、ヨガでダウンドックと言われるポーズを取る際に、肩が詰まってしまい十分に胸が開かないと訴える方に多く見られるパターンです。

その原因は、胸が開かないのではなく、肩甲骨を適切に引き寄せるための菱形筋の筋感覚が養われていないこと、また肩甲骨をしっかりと開く骨感覚が養われていないことに由来していることがほとんです。

また肩こりは、使えていない菱形筋を代償すべく、僧帽筋や肩甲挙筋が常時緊張しているために引き起こされています。

セッション1では手技による構造へのアプローチに加えて、「頭蓋骨のポジショニング」と「胸骨」の使い方の再学習を促し、機能面にも働きかけてセッションを締めくくりました。

セッション2:足指の使い方

セッション2では、セッション1の変化を踏まえて、視点を下肢へと移します。

歩行を観察すると足指が使えていないK.Aさんですが、立位姿勢における膝の過伸展が僅かにあることも改善点の一つとして上げられるでしょう。

他にも、立位バランスや足指の動きなどをセッション開始に当たりチェックするのですが、上半身に比べて全般的に下肢は良好な構造面のバランスをしています。

rolfing session 2

  • 足底から下腿など、下肢を中心に行うセッション2

セッション2でのK.Aさんのように、下肢の筋膜バランスなどの構造面にそこまで大きな問題がない場合は、筋感覚や骨感覚を向上させ、身体の使い方を養うことをメインにセッションを進めていきます。

K.Aさんの膝の過伸展の原因は、関節の構造に問題があるわけではなく、歩行の際に足指が適切に使えていないことに端を発しています。

セッションでは、足の親指はどこから始まりどのように動かすのかという観点に加えて、足底のアーチを適切に活性化するための骨感覚の再学習を行いました。

セッション2の前後では、後ろにあった重心位置が中央へと既に変化が起こり始めていました。

セッション3:ハイハイが大切な理由

セッション3ではセッション1と2で行ったエリアを身体の側面よりまとめます。

K.Aさんのセッションは、上半身には、構造上の改善点のための手技による積極的なアプローチが必要であり、一方下肢へは、筋感覚や骨感覚を養う機能面へのアプローチに焦点を当てることが必要であるということが特徴であると言えます。

rolfing session 3

  • 肩関節と体幹、肩関節と腕との連動性を中心に行うセッション3

なぜK.Aさんのこれらの部位が上手く機能していないかというと、それは幼少期の発育過程にまで遡る必要性があることがあります。

K.Aさんは子供の頃、ハイハイをする期間が短く、すぐに歩行器を使って歩く練習を行っていました。
そのため、ハイハイ期に発達するはずの指と肩のインナーマッスルの連動性を十分に獲得しないままに成長してしまった可能性が大きいのです。

そのような場合、ロルフィングのセッションにおいては指の使い方を見直し、手指でしっかりと体を支えられるように肩のインナーマッスルや胸郭の筋感覚の再学習を行います。

特に、腕立て伏せが苦手な方ヨガにおいてのチャトランガと呼ばれる動作が苦手な方によく見られる傾向でもあります。

セッションでは、上部肋骨や小菱形筋上後鋸筋のリリースに加え、指と肩甲帯の使い方の再学習を中心に進めました。

そして、スリーブセッションのまとめとして、一回もできない腕立て伏せにトライしてみたのですが、まだ成功させることはできませんでした。

次からの4~7のコアのセッションにおいて、足部から促す腸腰筋の活性化腹横筋と多裂筋の協調性を高めること体幹と肩甲骨の動きをさらに引き出すことなどを通して、体幹部に安定性が生み出されることにより、苦手としている腕立て伏せも成功させることができることでしょう。

スリーブの3セッションから、コアの4セッションへと、今後、ますます変化していくであろうK.Aさんとのセッションがとても楽しみです。

ロルフィングは施術者のバックグラウンドにより、多種多様なセッションが行われています。レシピと言われる10セッションにおける指針はありますが、何を重視して行うのかは施術者の裁量に任されるところとなります。私のロルフィングの特徴として、筋膜バランスなどの構造面へのアプローチと、身体の使い方の機能面へのアプローチを重要視していることがあげられます。