K.Aさんとのロルフィングセッション8〜10

K.A rolfing

昨年7月からスタートしたK.Aさんとの10セッション。
先日、全てのセッションを終了しましたので、経過をご報告させていただきます。
インテグレーションと呼ばれる8〜10セッションとは何か?また、10セッションの総括も併せてご紹介します。

 

インテグレーションとは何か?

what is integration of rolfing

セッション1〜7では、筋膜へのアプローチを中心に行い、筋膜のねじれや癒着の制限箇所を調整します。
その過程で、同時に身体の使い方や感覚を再学習することにより静的ライン(軸)を整えます。
セッション8〜10では、整えられた軸の活用のしかたを学びます。
これが動的ラインを見出すことであり、本来持つ潜在力が開花し、可能性が引き出されるのです。

ロルフィング®Q&A:セッションが10回で完結する理由 「静的ラインと動的ライン:調律と調和」

 

ロルフィングにおいてのインテグレーション(統合)とは、整えられた軸の活用のしかたを学ぶことであり、最適なバランスの見出し方をお伝えするセッションです。

それぞれの体質とニーズに合わせたセッションを行うため、2つとして同じセッションは存在しません。

当院では、以下のような特色でセッションを組み立てています。

  • 動きの改善を行いたいというニーズ
  • 身体の使い方にフォーカスしたセッションを組み立てます。
  • コリの軽減や痛みの緩和に対してのニーズ
  • 必要に応じて鍼灸施術をミックスし独自のセッションを行います。

 

上記の様に、セッション内容は十人十色。

ある意味ロルファーの腕の見せどころと言えるのかもしれません。

それでは、K.Aさんへのセッション詳細をご紹介します。

 

セッション8と9の勘どころ

K.Aさんの当初の訴えは、「足に力が入りづらく、疲れやすく、肩こりがある」でした。

スリーブからコアの1〜7セッションを終え、静的ライン(軸)が整った時点で、これらの症状は改善し、既に調子の良さを感じていただけるようになっていました。

そこで「自身の身体の可能性を探求してみたい」というニーズも改めて振り返りながら最後の3セッションを行いました。

 

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セッション8

セッション8と9では、伝統的には上肢・下肢と体幹部のつながりを深めることにより、動的ラインを見出します。

セッション8ではK.Aさんのポイントである「呼吸と上肢の使い方を深める」ことに着目しました。

  • 体幹〜上肢への手技によるアプローチ
  • 指〜腕の使い方の癖への気づきと見直し
  • 手〜体幹の連鎖を促す
  • 呼吸の再学習

 

乳児期にハイハイをあまり行ってこなかったため、上肢と体幹のコーディネーションの感覚が薄かったK.Aさん。

今回のセッションを通して、手指と体幹部のつながりをしっかりと感じていただけるようになりました。

未発達の感覚を学び直すことは、動的ラインを確立する根底的に重要な要素となるのです。

 

セッション9

前回のセッション以降、ランニング時の安定感が増し、姿勢が随分良くなったことを自覚できたとお伝えくださいました。

セッション8で行った未発達の感覚の学び直しにより、上肢〜体幹の連鎖が深まり、軸の活用のしかたのコツを早速掴まれたからでしょう。

セッション9では、「体幹と下肢のつながりを深める」ことに焦点を当てて、セッションを行いました。

  • 体幹〜下肢への手技によるアプローチ
  • 脚〜殿部の使い方の癖への気づきと見直し
  • 肩甲骨と股関節の連鎖を促す

下肢〜体幹のつながりは申し分のないK.Aさん。

そのため、セッション9では下肢から全身への動的連鎖を強化しセッションを締めくくりました。

 

セッション10

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前回のセッションの後、K.Aさんは50km弱のマラソンイベントを完走されたことを報告してくださいました。

これまで運動不足解消のためのランニングの経験しかなかったにもかかわらず、当日はとても快適に走り切ることができたとのこと。

そして、なんと翌日以降の筋肉痛も全くなかったこともお伝えいただきました。

 

そして迎えたセッション10。

1〜9までの総まとめとしてのアプローチを行います。

ロルフィングのコンセプトである「重力と身体の調和」を確かなものにするため、セッション10では以下のつながりに着目し、全体をまとめ上げました。

  • 手指〜上肢〜体幹のつながり
  • 足指〜下肢〜体幹のつながり
  • 手指と足指の連動
  • 軸感覚の再確認

静的ラインと動的ラインを統合し、軸感覚の定着を促しセッションを完了しました。

 

総括

ロルフィングのゴールは「重力との調和」です。

重力の影響は、地上で生活している上では当たり前過ぎて、日頃は完全に見過ごされています。

空気などと同様、普段存在を意識していないものに絶えず影響を受けている私達。

ロルフィングでは、その「重力」をセッションの軸に据えています。

重力との調和とは何か?動きの中で「必要な箇所を活性化し、不必要な箇所の脱力を促す」こと。
 

K.Aさんが初チャレンジで完走された50km弱のマラソン。

心地よく走り切れたこと、そしてその後全く無かった筋肉痛が、「重力と調和した身体」の何よりの証拠となっています。

言葉では表現しづらいロルフィングの体験。

ロルフィングセッションによりもたらされる重力との関係性の改善とは、アハ体験の一つとも言えます。

身体の学び直しを通して「気づき、体感し、認識し、腑に落ちる」体験こそがロルフィングの醍醐味であると考えています。

 

お伝えしておりますように、当院は今夏よりフランスのシャモニーへ活動拠点を移します。

ロルフィングを体験してみたい方、ロルフィングと鍼灸の融合に興味のある方、体の癖を見直したい方、渡仏までの時間が限られておりますが、ぜひお待ちしております。

そして、現在通われている方も、定期的に帰国する予定でおりますので、その際は引き続きお体を拝見させていただければ幸いです。